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1983(昭和58)年度

 この年、私は42歳、前年度に県大会で優勝して有力顧問の地位を固め、川越地区春祭もシアタージャックも成長を続け、演劇部顧問としての絶頂期を迎えつつあった。

<春季公演>
<第6回川越地区春季高校演劇祭上演作品>

国坂版・熱海殺人事件
作・如月 小春

<CAST> サキ:渡辺奈穂美  カイ:松岡 洋和
        母:山崎美津子  ツユ:竹内 雅美
        ヒョロリ1:小林 佳子  ヒョロリ2:鳴海 奈々  ヒョロリ3:飯島 淳

<STAFF> 演出:服部 次郎  舞台監督:飯島 淳  照明:平川 晶子
         音響:江崎 波世  美術:松岡 洋和  舞監助手:斎藤 弘子
         照明助手:川田 智彦・亀谷 薫
サキ:渡辺奈穂美 カイ:松岡 洋和
母:山崎美津子 ツユ:竹内 雅美
ヒョロリ1:小林 佳子 ヒョロリ2:鳴海 奈々
ヒョロリ3:飯島 淳
 以下の4枚は、坂戸文化会館大ホールにおける第6回春祭の舞台



<アトリエ公演>
1985.6.15〜16
シアタージャックと合同でアトリエ公演を行った。

創作寸劇「殺し屋」
   (出演)竹内 雅美・小林 佳子
創作寸劇「下水道」
   (出演)渡辺奈穂美・鳴海 奈々

<新人公演> 作・筒井康隆「改札口」

             (出演)川田 智彦・江崎 波世・斎藤 弘子・亀谷 薫

 筒井康隆の猟奇的不条理劇で、電車を乗り越してしまった男が見知らぬ駅の改札口で不条理のどつぼにはまっていくコワーイお話。圧倒的な暴力をふるい続ける波世と弘子のいじめっ子コンビ誕生の伝説的舞台となった。





 前年度は、水川裕雄先生の創作劇で思いがけず初優勝した。二匹目のどじょうをねらって、この年も水川先生に創作劇を依頼した。例によって、米粒のような短い台詞をつないでいく抽象劇で国坂劇部としては得意な芝居ではないが、その分、照明や音響に懲りまくって国坂芝居らしくは仕上げた。
 県大会には9年連続10回目の出場を果たしたが、県大会の入賞はなかった。


<コンクール参加作品>

せめて青春、闇街道・・・・・
作・水川 裕雄(創作)

<CAST> チチ:松岡 洋和  ハハ:飯島 淳  ムスコ:川田 智彦
        少女1:渡辺奈穂美  少女2:鳴海 奈々  少女3:竹内 雅美
        少女4:小林 佳子

<STAFF> 演出:服部 次郎  舞台監督:亀谷 薫
         照明:江崎 波世  音響:斎藤 弘子  美術:松岡 洋和
         装置:川田 智彦・小林 佳子
         衣裳デザイン:渡辺奈穂美・松岡 洋和
         衣裳製作:小林 佳子・鳴海 奈々
         合宿総務:山崎美津子
         合宿協力:長田 幸子・塩野 昭子・椎谷 淳子・金子由美子

<協力> シアタージャック
         衣裳製作:鈴木まり子・斎藤貴代美・新井 勝美
                             ・岡野奈津子・山崎 慶子
         演技指導:小峯 和浩  音響指導:木村浩一郎
           
チチ:松岡 洋和 ハハ:飯島 淳
ムスコ:川田 智彦
少女1:渡辺奈穂美 少女2:鳴海 奈々
少女3:竹内 雅美 少女4:小林 佳子
オープニング:激しいロック音楽の中からバイクの轟音とともにヘッドライトが乱舞し、3人の少女の亡霊が浮かび上がるオープニングは圧巻だった。派手派手な音楽と照明と衣裳を見せ付ける国坂芝居は、この芝居で完成したと言える。
 特にベビースポットをセットに吊ってヘッドライトのように客席をなめる照明は秀逸であった。県大会の大ホールでこれをやったときは、ウォーという驚きの喚声があがったものである。国坂照明史に残るヒットである。
 この芝居で初めてアングルを使った。ドイトでアングルを大量に購入してセットを組んだ。これ以後、国坂芝居のセット作りにアングルは欠かせないアイテムになった。この芝居でも私の作ったアングルのセットにモノクロの抽象画を描いたのはヒロカズ画伯である。
 この芝居でもう一つの特筆すべきことは「衣裳の国坂」を決定づけたというべき華麗な衣裳である。ヒロカズとナオミというプロ級のアニメオタクが描いたデザインを、先輩達が縫い上げた衣裳は高校演劇を超えていた。
 照明のナミヨと音響のヒロコ。「されど、」の音響のナオミ以来、国坂ではSTAFFにも根性が求められるようになった。本番中に電球が切れたり、テープが切れたりしたら、それはSTAFFの根性がないからで、「舌かんで死ね!」と言われた。


*文化祭公演パンフレットより転載

おつかれさま【贈る言葉にかえて(部長より)】

<じゅん>小生意気な口をききながら、気の小さい恐がりの可愛い女のコ。人材の見当たらない今年の3年で、マラソンの早さと、声の良さだけを頼りにリーダーにしたが、ガキンチョ揃いのワガママ軍団を、敵を作らない人柄の良きで、よくぞまとめてきた。
 今年から始めた新方式のミーティング日誌も、欠かきず米粒のような字で書き続けたし、時にはミーティングでビシッと部員を叱るようなリーダーらしさも見せた。が、何と言ってもじゅんが果たした劇部の歴史に残る快挙は、あの苛烈で鳴る夏休みの炎熱マラソンに、3年間皆勤賞だったことである。
 これは絶対に語り継がれるべき壮挙なのです。たしかにマラソンは得意のコだったけれど、劇部の歴史で部長よりマラソンの早かった女のコはこのコだけだけど、しかし決して身体の丈夫なコではなかった。むしろ、あちこちに爆弾を抱えた病弱者でした。今年も何度かピンチがあって「劇部をやめなきい」と心配するお母さんと泣きながら闘って劇部に通い続けたのです。
 お芝居は決して器用なコではなかったけれど、むしろ照れ屋で智彦とのカラミのシーンは、恥ずかしがって少しも様にならず、演出は怒鳴りまくっていましたが、まッ、じゅんに大人の色気を期待する方が無理ってもんですナ。
 じゅん、おつかれさま!文化祭のカーテンコールで思い切り泣きナ、お客様だって許してくれるサ、じゅんはそれだけのことやったんだから・・・・
 またいつか、二人で「父と子」について語り合おうナ!

<けいこ>リーダーのじゅんが3年間皆勤賞で感動させた炎熱マラソンを医者通いでサボリまくったサブ・リーダーのけいこネエさん。
 まるでマゾとしか思えないほどドジな理由で自分の身体を傷つけては医者通いに明け暮れていた。はては、かなりマジに○ヒカリ様のありがたいお力にすがってみたりして。
 そうやってマラソンを走らないけいこに、スポコン劇部の部長はアタマにきていたけれど、でもわかっていたんだ。
 出たがり、目立ちたがりのけいこが、役回りが悪くて、自分で思っているほどの大役につけずに不満だったのは。でもけいこは一言も不満がましいことは言わずに黙々と稽古した。少ない出番に目一杯賭けて、自分で納得できないセリフにはクレームをつけ、ついに水川先生に書き直しをお願いするほど自分の役に打ち込んでいた。きっと、私の知らないところで泣いていたのだろう。それが気が強くてプライドの高いけいこのやり方だったのだ。
 けいこのプライドの高さを見せつけたのは、県大会の合宿の反省会のときだ。人手不足の本校劇部の裏方を手伝ってくれた城北埼玉高・川越南高・川越初雁高の演劇部員の居並ぶ前で、「国坂の演劇部で高校生活を過ごせたことは、私にとって最高の幸福でした」と堂々と言ったこと。「こんな学校に来たくなかったんだ・・・」とイジケてるヤツの多くなった国坂で、こんなに俺を泣かせるセリフは最近聞いたことがなかったゼ、ありがとう、けいこ。
 だから、けいこが俺の前でたった一度だけ弱みを見せて泣いたことは、約束通り誰にも言わないからナ・‥・・・アレッ?

<ひろかず>この男とにかく多才である。まず、役者としてオールラウンドに魅力的である。二枚目もいけるし、ドタバタは破壊的にグッドだし、歌を歌わせても充分いける。ダンスだけは機会がなかったが、運動神経も抜群だから、ダンスだって軽くこなすだろう。
 裏方としても超一流である。ひろかずという腕のいい絵描きを得て、私の大工仕事もやっと本格的な舞台装置として評価されるところとなった。照明をやらせても飲み込みが早いし、細かい仕掛けも器用に作る。彼自身本業と思っているらしいアニメの方もかなりいけるようだし、ハードで鳴る本校の機械科目もそれなりにクリアしているようだし。
 こんなに多才でいいことずくめなのに、この男、トータルすると、それほど大人物というわけでもない。つまり自分の中にあり余っている多才なエネルギーをコントロールする術を知らないのだ。まるで生き方に思想がない。15分先の見通しすら持っていない。
 その結果、約束は守らない。忘れ物はする。物はなくす。遅刻はする。頼んでも返事はいいがあてにならない。自分勝手である。悪ふざけをする、スケベである、人にケツをむけてへをコク等々、ほとんどいいところなしの「ヒンシュクひろかず」「ヘッコキひろかず」と、女性軍の総スカンをくらう。すると本気で「だから女は嫌いなんだ!」と怒る。ほんとは女のコもバカなひろかずが好きなのに。とにかく目の離せない危うさが気になって、ふつう男のコにはキツイこの私がついひろかずを甘やかしてしまうので、今年の劇部は、女のコが「先生はひろかずをヒイキしている!」と抗議するという日影さんムードのヘンなクラブなのです。
 ひろかず、おまえのおかげでずいぶん俺は苦労したんだから、早く一人前の○○家になって俺に恩返しに来るんだゼ!義理と人情の国坂劇部、忘れんじゃねえゼ!!!

<なおみ>不良のなおみ、目付きのなおみと恐れられながら、不良の多くがそうなように、このコも気の優しい寂しがり屋の哀しい女のコ。
 1年・2年では音響室を独占して、抜群のカンの良さを発揮したし、春の芝居では坂戸文化会館のスターで、中学生にサインをねだられたりしていた。そして今年、これも不良の特性で、思い込んだら命懸けいうところがあって、この芝居に一番賭けていたのはなおみかもしれない。1年・2年の時はあんなにサボリまくっていた炎熱マラソンを、今年は一日も休まず、しかも今まではほとんどビリを走っていたものが、今年はじゅんに次ぐ2位で走り切った。細くて量がなくて大ホールでは使いものにならんと私が言っていた声も、それどころか、3人組の中では一番響いて、「芝居は気力と体力じゃい!」とわめいている私の持論を実証してみせた。
 「劇部がなかったら、とっくに学校をやめていた」と、このコを知っている誰もが認める生粋の劇部ッ子。それだけに3年生として最後のコンクールに賭けていた。そして、その思い込みの激しさのゆえに、県大会の審査員に評価されなかったことで一番傷ついていたのはなおみだった。
 なおみ、いいんだ、おまえは力一杯闘ったんだから。おまえにできることはすべてやったんだから悔いることはない。客席の高校生の拍手は、ちゃんとおまえたちの熱い思いを支持してくれたじゃないか。
 ・・・・・そんな目付きで怒るなよ・・・・

<なな>なりゆきで心ならずも、反主流派の役割を演じることになってしまって、おちょぽ口をとんがらせて懸命に憎まれ口をたたいていたが、所詮、気のいい純情な少女であった。
 めぐり合わせの悪さは、このコも同じで、劇部に賭ける熱い思いの割には気に入った役につけなかったうらみはあろう。ななが、適役で好演したと言えるのは、2年の春のガリ勉横山君役かな。ダンスのうまさでは光るものがあったが、惜しむらくは舌足らずの滑舌の悪さと高音に偏った音域の狭さが泣き所で。今回の役は、叫びゼリフで救われてはいるが。
 私に、憎まれ口をきくので、こちらも「友達のいない少女ナナ!」といじめていたほど群れをつくらず、孤高を保っていたが、かといって淋しそうでもなく劇部を休むことはほとんどなかったし、やめそうな雰囲気もまったく感じなかった。けっこう一人で劇部を楽しんでいたんじゃないかな。
 ななちゃん、カーテンコールで誰も花束くれなかったら、俺が持っていってあげてもいいんだゼ・・・・。だけど、花束は自分で買ってきナ!
 へっへっへ・・・・フ〜〜ンダッ!!
 なな:「がんばりタイと思いマース!」

<まさみ>真央さん、真央さんと騒いでいるうちに、ほんとにどことなく真央さんに似て見えるときもある宝塚マニア少女。
 「この軟弱者!」と、私にノノしられながら、よくぞ3年間劇部に居続けた。
 演劇部員というのは図々しくって、自己中心的で、自己顕示欲が強くて、要するにワガママな不良の意地っばりという私の思い込みからすれば、このコはとても気が優しくて控えめで、気がよくて、自信がなくて、どこを押しても劇部タイブじゃないのに、ほんとに芝居が好きで、必死の思いで劇部に居続けた。マラソンも苦しそうだったし・・・・。
 けれど、去年の関東大会まで行った芝居の複雑な照明を、たった一人でこなしたことが、このコの大きな財産になった。今年、後輩に照明を教えている姿は、かってのまさみとは思えないほど自信に満ちた先輩だったヨ。
 今年、待望のキャストはなんと不良の役で、劇部唯一の清純派少女は、なかなか様にならなくて、不良のなおみさんに目付きから足の構え方から教授してもらっていたけれど、やっば、まさみには「トロイメライ」の女王様役の方が似合ってるナ・・・・。
 優しい先輩になって1年生を助けてやってナ!

<ともひこ>3年になって、何の前触れもなく、突然入部してきた不思議な少年。
 それまでこんなコがうちの学校にいたことも知らなかった。どのくらい本気なのかなと思って、6月のアトリエ公演で、ひどい役につけた。女のコにぶたれ続ける役だ。ひやかし気分のいいかげんなやつなら逃げ出すだろう。こっちは本気で高校演劇やってんだ。あてにならないやつに一夏賭けるわけにはいかない。ところが、ともひこは黙々とぶたれ続けた。こいつは本気だと思った。これは使えると、水川先生に男2人で台本を頼んだ。
 とにかく不思議な少年だ。特に自己主張するわけではない。むしろ無口でおとなしい。かといって、消極的で意気地がないわけではない。一人でザックを積んで遠くまでサイクリングに出かけたりもする。
 芝居は決してうまくはない。むしろ、へタだ。ところが不思議な存在感がある。自分の分をわきまえている。好感が持てる。ともひこがやると、ヘタなしぐさも何となくあれでいいのかナーと思ってしまう。ヒラメキがすぐ身体表現につながる動のひろかずに対して、落ち着いてゆっくり自分を納得させてから不器用に表現していく静のともひこ、絶妙な名コンビである.
 舞台の上でだけではない。二人でセットを作っていても、激し〈動き回って絵を描いていくひろかずに、ひっそりと息を合わせて助けていくともひこ。大体、自分が一番じゃなきゃイヤッていう自己主張の強いやつばっかりの芝居の世界でこういうタイブは貴重だ。めったにいるもんじゃない。とかくハシャギまわって、やりすぎてヒンシュクを買うひろかずに対して、必要以外は口をきかないともひこは、不思議な少年の神秘感まで漂わせて、女のコも近寄りがたく、一種畏敬の目で見ている。
 ヤルキのあるヤツが減ってきて、3年生が引退したら1年生の女のコが3人しか残らない劇部の弱体ぶりに絶望的になっている私も、今年、こんなに頼りになる男が突然入部したことに感動して、気を取り直して頑張ろうと思っている。
 ともひこ、おまえもイイやつだったゼ、義理と人情の国坂劇部、忘れんじゃねえゼ!!!





<卒業公演>
1986.2.1〜2
夢未の赤い靴
作・演出  小峯 和浩

<CAST> 部長:松岡 洋和  夢未:渡辺奈穂美
        希望:飯島 淳  浜子:竹内 雅美  森田:川田 智彦

<STAFF> 舞台監督:江崎 波世  照明:斎藤 弘子  音響:亀谷 薫
         衣裳製作:窪田 容子・渡辺奈穂美  照明協力:関根 淳志
  
 そして、唄と涙、涙、涙のカーテンコールも国坂芝居の定番になった。
超アニメ少女のカオルが音響を担当 舞監のナミヨと照明のヒロコ

<部員名簿> 3年:飯島 淳(リーダー)・小林 佳子(サブ・リーダー)
             ・松岡 洋和・渡辺奈穂美・鳴海 奈々・竹内 雅美・川田 智彦
          2年:
          1年:江崎 波世・斎藤 弘子・亀谷 薫

(UP:2009.9.7)


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